いくのdeリノベ1月号 今里に誕生した夢と希望を乗せたベトナム料理店

お店を運営するミンさん。
ここ日本でお店を成功させたい、そう願う若き青年は夢と希望に満ちている。

 近鉄今里駅から高架沿いを西に5分ほど歩いたところに、ひと際目を引く鮮やかな黄色のお店。2か月前にオープンしたばかりのベトナム料理店「2000ドン」だ。
マンションの1階にあるお店。
異国の香りがする店内で、本格的なベトナム料理を食べれば、もうすっかりベトナムを旅しているような気分になる。

 お店を運営するのは、6年前にベトナムから来日したミンさん。ベトナムの高校を卒業後、日本の大学で経営を学んできた。日本語も流暢(りゅうちょう)だ。
 「そのまま使えるものはなかった」という傷みの激しかったこの場所は、もと喫茶店。大がかりな改修が必要でもここに決めたのは、一目でベトナムの家が目に浮かんできたから。真ん中にドアがあり、それを挟むように2つの窓。まさに、こどものころ幾度となく描いてきた家の絵そのものだった。
 色は迷わず黄色に塗り替えた。ミンさんの記憶にあるベトナムのお店はどれも黄色だったからだ。店のロゴにも使われている木の葉でできた円錐(えんすい)の笠帽子は、店内にもたくさん飾った。一つ一つ異なる笠の絵はミンさんが描いたもの。少ない資金ながらも、できる限りベトナムを感じられるようにと、工夫が随所に凝らされている。

ベトナムの典型的な家の形にそっくりだというお店の外観。
黄色いペンキが安価なため、かつてベトナムでは多くのお店や家で使われていたのだそう。

店内の壁は淡いグリーンとビビッドな黄色で塗られており、異国の雰囲気がたっぷり。


店内に飾ってある笠帽子に描かれたベトナムの地図やお店のロゴマークは、ミンさんが描いたもの。
とってもお上手!

手書きの案内表示もかわいらしい。

 店名にあるドンとはベトナムの通貨単位のことで、2000ドンは日本円にして約10円だ。貧しい家庭で育ったというミンさん。幼い頃のある日、お店で売られていた鉛筆削りが、どうしても欲しくて大泣きしたという。ミンさんの母親は、とうとう2日分の食費に相当する2000ドンでその鉛筆削りを買ってくれた。その時の母親の気持ちを忘れたくない思いから店名につけたという。
 「おじいちゃんになったらベトナムに帰ろうかな」そう話すミンさんの心の原点はいつも、在りし日の家族との思い出がつまった故郷にある。

ベトナムの代表的料理「フォー」
日本人のお客さんからのオーダーが多いという。
ちなみに、鶏ガラ出汁のフォーを「フォーガー」、牛骨出汁のフォーを「フォーボー」という。(お店で提供されているのはフォーガー)

ベトナムのつけ麺「ブンチャー」
つけダレの中には炭火で焼いたつくねと豚肉が入っており、そこにブンという米麺をつけて、生野菜や香草と一緒に食べる料理。
日本ではあまり馴染みがない料理ですが、一度食べるとやみつきになるかも?!

「青パパイヤのサラダ」
甘くない、まだ熟していないパパイヤを千切りにしたシャキシャキとした歯ごたえのサラダ。
噛むほどにビーフジャーキーのうまみが出てきて、甘酸っぱいさわやかな味付けにとてもマッチしていいます。

取材当日も次から次へとお客さんが。
ベトナムのお客さんもたくさん通っている様子。

それもそのはず。
厨房を任されているのはあちこちで修業を積んだ経験豊富なベトナム出身の方。
腕の良さを聞きつけ、お店のシェフをお願いしたのだという。

本格的なベトナム料理でありながら、日本人にも食べやすい味付けに工夫されている。
お客さんに喜んでもらえるように、今後は新しい料理も追加していくそうだ。


★2000ドン(新今里1-4-7)  電話080-3801-3615

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