「認知症の方への理解とやさしいまちづくり」に向けた取り組み紹介!~東中川まち協さんにインタビュー~

徘徊役の人に声をかける東中川小学校の生徒たち


今回は、5年前から東中川地域まちづくり協議会地域福祉担当として、認知症に関する取り組みをされている、松村さん伊藤さんにお話しを伺いました!

―「まちあるき声かけ体験・徘徊模擬訓練」ってどんなもの?
年1回、認知症の方への声掛けを体験する「徘徊模擬訓練」を実施しています。
認知症の方が道に迷っているところを想定し、どう声をかければよいか、困っていることは何か、考えながら声をかけてみる、そんな訓練です。
やってみると「声かけ」がいかに難しいかがわかるんですよ。
「認知症」の取り組みについては、最初、地域包括支援センター(以下、包括)からの提案があったんです。「認知症ってそもそもどんな病気?」「自分たちの地域にはどんな活動が必要なの?」というところからじっくり考えました。そこで生まれたのが「まちあるき声かけ体験・徘徊模擬訓練」なんです。

「徘徊模擬訓練」を実施する意義は、
◆ 実際に体験することで認知症について考えたり学び合うことが出来る。
◆ 慣れないことはなかなか出来ないので訓練を通じて自信をつける
◆ 一人だと出来ないことも人が集まったら出来る
◆ 共通の目的や目標をもって行うことで団結力・絆が生まれる。
◆ 認知症や徘徊のことだけでなく防災・防犯の効果も生まれる。

こんな風に考えています。

―今年は小学生が訓練に参加されたんですよね?

5回目となる今年は、こどもを対象にした初の試みとして、東中川小学校を舞台に「キッズサポーター養成講座」を実施しました。対象は6年生。校長先生も「やろう!」と前向きに考えていただいたので実現しました。
まず、生徒たちに認知症の話をして理解を深めてもらい、その後、校庭で訓練を行いました。
東中川まち協の橋本理事長をはじめ、社協の酒井局長、包括のスタッフ、区役所職員などが認知症の方に扮し、生徒たちは声をかける役割です。
これまで大人向けに訓練してきたけど、こどものうちから福祉活動に関わることが大事だと思ったんです。だって地域には、実際にこどもからおとなまでいろんな世代が住んでいて、お互いに理解しあうことが、お互いにとって大事だし、みんなにとって住みよいまちになると思うから。これからも、6年生対象にして、毎年やりたいと思っています。



↓徘徊役の人も、生徒たちも
みんな真剣に取り組んでいます






―訓練後のアンケートにはどんなことが書いてあったの?

《認知症ついて持っているイメージ》
●忘れる事が多く、一人じゃどこにも行けない
●おじいちゃんやおばあちゃんがよくかかる病気
●本人も周りの人もイライラして、仲が悪くなる
●外に出てどこかに行ったり行方不明になったりする


《認知症/若年性認知症についての話を聞いてイメージは変わりましたか?》
●お年寄りの人だけがなる病気と思っていたから、若い人もなるって知って意外だった
●若い人もなるということがわかったから、だれでもなるイメージになった
●物忘れだけかと思っていたけど、何回も同じことを言うのも認知症とは思わなかった
●おだやかになる人もいるのがよかった


《これからの対応について》
●認知症だと思ったら助けてあげる
●困った人がいたら、ちゃんと習ったことをいかして話をする
みんなができることをすれば、みんな楽しくくらせる
●一人でどこかに出かけても地域の人などで助け合っていけばいけると思う


《認知症のある人への声かけ体験をしてみてどうでしたか?》
●やっぱり声掛けはむずかしい
●ゆっくり話して、聞くことが大切だとわかった
●どう話していいのかが難しかった
●認知症の人ってこういう人なんだな~と思った
●認知症の人にこれからやさしくしようと体験して思った
●少し恥ずかしかった
ありがとうって言われてうれしかった
●これからも外で迷っている人がいたらよく考えて話しかけて道案内とかしようと思いました

など、この他にもたくさん意見をもらいました。

嬉しい言葉もたくさんありやってよかったなと思いました。
やっぱり体験して初めて気づくことって多いと感じたし、継続していくことが大事だと改めて感じました。

訓練後、教頭先生から嬉しい知らせが!!
訓練を実施して数日が経ったとき、女子生徒がお年寄りの方を家まで連れてきてくれたと家族の方から学校に連絡があったそうです。教頭先生からその話を聞き、とても嬉しかったです。訓練が直接関係しているかは分からないけど、やっぱりそんな話は、本当に嬉しい


―松村さん、伊藤さん、どんな思いで活動してるの?
私たちの地域福祉の活動は、認知症だけに焦点を当てているのではなく、東中川の住民が、安心して住みやすい、やさしさあふれる町にしたい、という思いでやっているんです。
そのためには、顔見知りになることが大事なので、地域の人同士の交流が必要だと思っています。
例えば、障がい者の方が地域と関わりを持ってもらうために夏祭りで出店してもらいました。すると、障がいに関わるいろんな団体さんとの交流もできたんです。
認知症の訓練だってそう。回を重ねる度に、地域の人たちと顔の見える関係が広がってきています。

活動の内容は、お互いの強みを活かしながら、協力し合ってやっています。地域のことは、地域に住んでいる私たちが一番分かっているし、認知症の症状やアプローチのしかたなどは包括センターが詳しい。地域社会でこの病気とどうかかわっていくかは、社協が詳しい。
密に連絡を取り合える関係づくりをしてきたからこそ、地域に合った取り組みができるんだと思います。

これからも、生野区社協や地域包括支援センターと連携しながら、自分たちのことは、自分たちで考えてやっていこうと思っています。活動内容も毎回同じ内容でやっていたら機械的になるので、毎回工夫して変えています。自分で考えてやったことは覚えているし、継続できるので。地域の人たちと少しずつ少しずつ続けていく、地道な活動に意味があると思っています。



社協(社会福祉協議会)・・・地域福祉の推進を目的としてさまざまな社会福祉事業、活動を実施しています。
包括(地域包括支援センター)・・・高齢者の方々の介護や福祉に関する総合相談窓口です。

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