いくのdeリノベ2月号 二人三脚でつくる“キンパ”はいつもほんわりあたたか

明るい笑顔で接客する大長愛(だいちょうめぐみ)さん。
店名の“Ella(エラ)”は、幼少期に一時期韓国で暮らしていた頃の愛さんの呼び名なのだそう。

 疎開(そかい)道路沿いにあるキンパ専門店「Ella Gimbap(エラキンパ)」。白壁とレンガの可愛らしい外観が、コリアタウンから鶴橋駅へと向かう人の足を止める。
お店の外観

 1年前にここにお店を開いたのは、大長(だいちょう)さん親子。厨房(ちゅうぼう)ではいい匂いが漂(ただよ)い、卵焼き、たくあん、豚キムチ、ソーセージ、ヤンニョムチキンなどの具材がずらりと並んでいる。注文が入ってから、のりを広げ、そこに温かいご飯と具材を乗せくるくると巻き、包丁で輪切りにしてパックに入れる。このスタイルは「お客さんには少し待たせてしまうけど、一番おいしいできたてを食べてほしい」との二人のこだわりからだ。すぐに食べられる形のテイクアウトもできる。手渡されたキンパはほんのりあたたかく、ほおばった口に優しい味が広がる。

ショーケース上の小窓から注文を受け付ける。
韓国の”のり巻き”キンパ!
手軽に食べられる韓国でポピュラーな食べ物。

写真は一番人気の「Ella(エラ)キンパ」。
卵・にんじん・ほうれん草・たくあん・カニカマ・ソーセージと具材たっぷりの優しい母の味。

ヤンニョムチキン キンパ
豚キムチ キンパ
他にもチャンジャ、明太キムチ、ツナマヨ、厚やきタマゴのキンパがある。

 母の智炎(ともえ)さんが、韓国の友人からキンパの作り方を教わったのはずいぶん前のこと。それ以来、こどもたちの遠足や運動会など特別な日に作ってきた。家庭で愛された味が、そのままお店の味になっている。
注文が入ると、あっという間にできあがっていくキンパ。
二人の呼吸はぴったりだ。
智炎さんが作るキンパはこどもたちも大好きで、1度にたくさん作っても、取り合いになり、すぐになくなってしまったのだそう。
ごま油などで味付けされたご飯は、何度食べても飽きのこない優しい味わい。

 もともとは、キムチ屋さんだったというこの場所。キッチンとカウンターを新たに取り付け、壁紙や床はすべて張り替えた。シンプルな内装の中に、壁にかけられたいくつもの大きな絵が目を引く。智炎さんが大切な友人から譲り受けたというこれらは、絵専門のクリーニングで鮮やかに甦(よみがえ)ったのだそう。お客さんからの「おいしい」が励みだという二人は、その絵に見守られながら今日もできたてのキンパを提供する。
壁掛けの絵には、季節折々の花や鳥が鮮やかに描かれている。




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