区長コラム:「残暑お見舞い申し上げます」

 
暦の上では立秋を迎えましたが、まだまだ暑い日が続きます。特にこの夏の暑さは異常で、救急搬送の数も急増したと聞いています。水分補給と空調の管理、無理をしない野外活動でなんとか安全に乗り切ってほしいと思います!

夏祭りのシーズンですので、あちこちのお祭りに今年も紫陽花柄の浴衣でお邪魔しました。多世代がにぎやかに交流しておられ、私も生野の二年目の夏を楽しみました。


〔地域の方の連携で、多世代の「居場所」がつながって盛り上がっていました。〕

今年、生野区役所では「学校跡地を核としたまちづくり」をめざした調査研究を行っています。学校の再編によって、新たな空間となる学校施設を有効に活用し、避難所としての機能の維持、地域活動の拠点としての条件整理をまず行います。さらに、地域の課題に応じたニーズ調査を行い、まちの魅力の向上と活性化につながるような、利益を生み出せる持続可能な公民連携の仕組みを検討しています。

まちの空き家・空き地問題も合わせて、エリアの価値を上げて人口減少を防ぐ手立てを考えるために、公募型プロポーザルで選定した株式会社セミコロンに事業委託をして、調査を進めています。
(株)セミコロンHP  https://www.semicolon.co.jp/

株式会社セミコロンは、全国で展開されるリノベーションスクールや公共施設活用に実績を持つプロが結集したチームで、「単なる外注ではダメ、まちづくりの当事者である地域住民や行政職員とまちづくりのプレイヤー(事業者)を育てることが大事」として、職員向け研修や区民向けの講習会を調査と並行して実施しています。
〔7月に開催した「リノベーションまちづくり」講演会には、100名以上の方に来ていただきました!〕

清水義次さん、嶋田洋平さんの研修や講演があり、大いに刺激を受けました。8月21日・22日にも区民向けのまちづくり講演会がありますので、ぜひご参加ください!
◆再生まちづくり講演会 Ver.2・3
http://www.city.osaka.lg.jp/ikuno/page/0000442969.html


そして、私も実際に学校跡地の活用事例を見学に、東京に日帰りで行ってきました。



まずは「アーツ千代田3331」。前の公園と校舎を一体化し、アートをテーマにした拠点となっています。
〔アートの振興を目的に独立事業者が運営を請け負い、地域にも開放しながら利益も出しています。〕

地域の方も利用され、フリースペースでは親子連れが遊んでいました。秋葉原駅から少し離れた、静かなエリアです。このスペースと拠点ができたことで近隣にマンションが建ち始めていました。美術大やクリエイターのオフィスや展示スペースがあり、カフェも入っています。この日は見られませんでしたが、屋上には菜園もありました。
〔親子でくつろぐスペースや、元職員室のスペースで、近所の方が思い思いに過ごしていました〕

 「アート」というキーワードを立てることで、目的を持って人やイベントが自然と集まってくるような印象を受けました。

◆アーツ千代田3331  https://www.3331.jp/


 次は歌舞伎町にある小学校跡地をオフィスに変えた、吉本興業東京本社へ。

〔中庭の芝生は屋上緑化の手法で作ってありました。体育館もオフィスとして活用しています〕

 歌舞伎町の治安が良くないというイメージを変えて、エンタメのまちにしようというプロジェクトの一つとして、吉本興業が本社を移転してきました。芸人さんが地域に出て、一緒に清掃活動をするなど「まちの力」としても活躍しているそうです。

◆歌舞伎町ルネッサンス「喜兵衛プロジェクト」
https://www.d-kabukicho.com/about_kabukicho_renaissance/kabukicho_renaissance_6/
※まちを変えるプロジェクトの中に、小学校跡地の活用を盛り込んでいます。



最後は「世田谷ものづくり学校」。 このあたりになると、暑さと疲れでふうふう言いながら到着しました。
〔内部は撮影禁止だったので、入り口あたりです。中学校の跡地活用で、イベント時にはかなりの人が来るそうです〕

 こちらは株式会社ものづくり学校が世田谷区から借りて運営しているとのこと。中には、パン工房やスノードーム工房などがあり、ものづくり会社やデザイナー、NPOなどが借りています。シアタールームのようなプレゼンルームも印象的でした。

撮影許可をいただいたのは、保健室をリノベーションしたカフェ。
〔図工室の椅子みたいなデザインがかえっていい感じ。運動場が見えて開放的でした。〕

 夏休みにはワークショップや子ども向けプログラミング教室なども開催しており、「大人も子どもも学べる学校」として機能しているのが、生野区のめざすところに近いと思いました。館内にはあえて教室をそのまま残した部屋があり、CMや雑誌の撮影に貸しているそうです。世田谷区の施設として若者の居場所・相談ルームも入っていました。

◆世田谷ものづくり学校
https://setagaya-school.net/



公・民・地域が連携して使い方を考え、広い校舎と校地をうまくシェアして「まちづくりの核」となるような跡地活用ができるよう、特に資金と契約形態を検討しながら進めたいと考えています。


区で実施している跡地活用の研究会では「“廃校”と呼ぶのはやめよう、学校はそこに残って新たな機能を加えて“みんなの学校”になる、という発想で取り組もう」という言葉が出ました。これから、たくさんの公的施設が老朽化を迎え、まちの税収が下がっている中で維持し続けるのが難しくなります。

〔まちの将来を考えるための研究会で、私から生野区の課題とめざす姿をプレゼンしました〕


 生野区は「課題最先端エリア」と、私はよく言います。だからこそ、課題解決に取り組む値打ちがある。まちづくりの講演会で聞いた、このフレーズが胸に刺さっています。


「地域を価値のある状態で次世代に引き継ごう」


 今までのまちづくりを継続するだけでは、もはや少子高齢化も地価下落も税収減少も止まらない。大規模開発が急にまちにやってくることはない。だからこそ、今打てる手をすべて打って「生野というエリアの価値」を上げたい。行政だけではできないので、不動産オーナーや事業者から「まちづくりのプレイヤー」がもっと出てきてほしい。もともとある企業には、雇用の維持とさらなる事業発展を願っています。


 今までのまちづくりの取り組みのバトンを受け取り、時代に合わせてやり方を変えながら、次世代につなげればと思います。


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◆「再生」まちづくり講演会~生野の未来を考えよう~↓
http://www.city.osaka.lg.jp/ikuno/page/0000442969.html
1日だけの参加も可能です。実践に基づいた話が聞けます!

◆facebookページ「生野区なんでも掲示板」↓
https://www.facebook.com/groups/888959634640123/
シティプロモーションオープン会議から生まれたイベント等の情報発信ページです

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区長インスタやってます♪
http://instagram.com/terumi_yamaguchi
※長文が多いのですが、日々発信しています。

日経DUAL「ワーママ区長 まちづくり最前線」連載中!
https://dual.nikkei.co.jp/atcl/column/17/010600039/070300008/
「共働きの防災とは?震度6弱の大阪市北部地震の教訓」

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〔発信:区長・山口照美〕

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