小路小学校「学びを止めない未来の教室」へのチャレンジ

生野区役所地域まちづくり課が区内の「特色ある学校の取り組み」をご紹介します。
 
 今回ご紹介する取り組みは、新型コロナウイルス感染症を予防するために始まった、令和2年2月29日の休校措置から6月15日の学校再開まで行われた、小路小学校の先生たちの挑戦についてです。

きっかけは卒業式 手探りではじめたオンライン授業

 休校措置が始まったのは、3学期もいよいよ終盤というタイミングでのことでした。当時、先生たちには長期の休校に対応するためのノウハウはなく、卒業式をどのようにするのか、未履修となってしまった科目をどうやって進めるのか等、日々悩んでいたそうです。

 状況が変わったのは、大阪市教育委員会から『臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト(通称「子供の学び応援サイト」)の開設について」の周知が届いてからでした。
 「子供の学び応援サイト」は文部科学省が立ち上げたサイトで、臨時休業期間における学習に役立つコンテンツが掲載されていました。そして小路小学校の校長先生は、数あるコンテンツの中から、経済産業省がタブレット型パソコンと通信用のルーターを50台まで貸してくれる事業者を紹介してくれるサービスを見つけたのです。

「これ、どうかな?」

 校長先生の一声から、サービスの利用申込が決まりました。先生たちは当初、当時の5年生をオンラインで卒業式に出席させる事を考えていたそうです。

 その後、サービスを利用できることが決まり、学校にタブレット型パソコンと通信用のルーターが届いた次の登校日には、5年生にパソコンを貸し出しました。

 そして、オンラインで出席するという新しい形での卒業式は無事に終わり、先生たちは新たな可能性を感じました。
 学校がライブ配信をし、児童がオンラインでライブ配信に参加することができるのであれば、オンラインで授業を行うことも可能ではないのかと。

 何も知らない状態からでも、少しずつできることが見えてきて、ついにはオンラインでの授業をスタートすることになりました。

オンライン授業でもこどもたちとつながれた

 オンライン授業初日に先生がまず行ったのは、こどもたちに基本的な使い方やオンライン授業中の発言の仕方などの説明でした。
 こどもたちも慣れていないオンライン授業なので、最初は勝手にマイクミュートを外して喋るこどももいたり、チャットで必要のない発言をするこどももいましたが、授業をする先生以外に、フォロー役の先生が加わることで、授業中のこどもたちのミュートの操作や不要なコメントの削除ができるようになり、徐々に改善されていきました。

 次第にこどもたちもオンライン授業に慣れていき、「先生が近くて黒板が見えません」など配信している側(教師)が気づけていなかったことをこどもが教えてくれて、より良い授業になっていったそうです。

 また授業中の板書やノートを、授業後に画像として投稿することで、授業に参加できなかったこどもにも共有することができるようになりました。





 環境もノウハウもない状態から、学びを止めないために、オンライン授業にチャレンジした小路小学校の取り組みは6月15日の学校再開まで続きました。

これからの授業風景

 実際にオンライン授業を担当した先生にお話を伺ったところ、授業を準備する手間はいつもの授業とあまり変わらなかったそうです。
 それどころか、普段の授業ではあまり発言できなかったこどもが、オンライン授業だと積極的に発言してくれたなど、思わぬ効果もあったようです。

 休校中の6月にオンライン授業を見学させてもらった際、これまでと全く違う授業風景ながら、こどもたちが生き生きと授業を受けていたのが印象的でした。


 大阪市内の市立小・中学校の児童生徒には、端末を1人1台、約16万台を配布することがすでに決定しています。
 今回の小路小学校での取り組みは、一部の学校の、一部の学年だけで実施されたものですが、今後すべての児童生徒に新しい学習環境が行き渡れば、こどもたちの学習風景は大きく変わるのかもしれません。





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