IKUNO×グローバル 7月号 インドネシア

ANDIKA DIAPARI(アンディカ ディアパリ)さん

アンディカ ディアパリさんは、生野のまちに住んで5年目を迎えた。
今から5年前、彼は母国であるインドネシアの大学でコンピューターサイエンスを専攻して卒業し、日本でビジネスについて勉強しようと、まず日本語を学ぶために、生野のまちにやってきた。

日本語を学んでいた日本語学校での2年間で、彼の興味は止まることなく変わっていった。「日本語」から「人」へ、「人」から「人と人とのつながり」へ、そして「人と人のつながりがまちを作っている」ことへと。

―「人と人とのつながり」に興味を持ったきっかけは?

最初のきっかけは「剣道」です。
僕は日本へ留学する前から「武士道」に興味があり、宮本武蔵などの本を読んでいました。
留学して「剣道」が習いたくて、日本語学校の先生の紹介から生野スポーツセンターで開催されていた剣道教室に参加しました。その教室はもちろん日本の人ばかり。突然来た外国人の自分も普通に迎え入れてくれました。
これがはじめて僕が生野のまちの人たちと交流をもったきっかけです。
この経験が今の活動の原動力です。言葉や文化を越えて、様々な国の人たちと知り合いたい、つながりたい。



今では流暢な日本語を話す彼だが、当時はまだまだ日本語を話すことができなかったと言う。コミュニケーションに不安がある中で、剣道教室という地域のコミュニティに入って行くことへの不安はなかったのか?との問いに対して、「それ以上に興味が優っていました。剣道を習いたい気持ちが」とさらりと笑顔で答える。

日本語学校で日本語を勉強しながら剣道教室へ通い、彼は、日本語学校だけでは出会うことのなかった様々な年齢、職業の、たくさんの生野のまちの人たちに出会った。その出会いの中で、彼の興味は「人」から「生野のまち」に広がっていった。
そして日本語学校卒業後、彼は同志社大学大学院に入学し、「多文化共生」と「まちづくり」を2年間研究した。

―文化の違いは大変ではない?

文化の違いっておもしろいんです。例えば茄子。同じ茄子なのに、インドネシアと日本ではまったく違う料理に使います。でもどちらの料理もおいしい。知っているだけで、茄子ひとつで2つの国の料理が楽しめます。違う文化を知るって楽しい。人と人がつながるからこそ文化の違いを知れるし、またつながりたくなる。それが楽しい。

文化の違いをおもしろい!と言い、楽しみがどんどんつながって止まらないと言わんばかりの笑顔は、彼が、本当に人が好きで、人とのつながりを大切にしていることが伝わってくる。
文化が違っても同じ人。茄子と同じと笑う。味わわないなんてもったいない。それは自分が楽しかった経験、ひとりで来た海外での生活の中から発見したものだと言う。
大学院を卒業した現在、彼は生野区まちづくりセンターのスタッフとして自身の経験を活かし、彼ならではの視点でまちづくりの支援に尽力している。

―生野区はどんなまちですか?

生野のまちの多くの人が未来を見つめている気がします。
生野のまちには、自分をはじめ多くの外国の方が住んでいます。自分のように外国から新しく来た人だけでなく、それを受け入れる多くのまちの人に「人と人とのつながり」を体感してほしい。そこから変わる世界を体験してほしい。僕にとっての「剣道教室」のように、今度は僕が「つながりの場」を作る番です。
少しだけまちの未来、まちの将来を想像しながら、生野のまちの人同士、お互いの違いを知って、つながってみませんか?



そう答える彼の瞳は、たえず前を見て、どこまでもまっすぐだ。
彼はいま「サラダボウル・プロジェクト」という「つながりの場」を作っている。このプロジェクトでは、農園で野菜を一緒に作り、それを様々な国の料理で食べるなど、食文化の交流をきっかけに、それぞれの国のこと、そこに集まる人のことを知るきっかけとなっている。
留学してから自分が感じた「人と人とのつながり」の楽しさを、今度は彼自身が楽しみながら「場」「きっかけ」を提供している。その話を聞いていると彼の提供してくれている「場」に、ぜひ参加してみたいと感じずにはいられない。

そんな彼は「焼きそばと牛丼が大好き!」とおちゃめに答えてくれてインタビューを終えた。


■IKUNO サラダボウル・プロジェクト
https://www.facebook.com/ikunosaladbowl/




アンディカさんから教わった茄子を使ったインドネシア料理「ロデ」の作り方もブログでご紹介しております。
ぜひあわせてご覧ください。
『IKUNO×グローバル 7月号 料理編:インドネシア料理「ロデ」レシピ 』

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