いくのdeリノベ 第1号「人とのつながりで満たされた家」
今回のお住まいは・・・
記念すべき1回目にご紹介するのは、リノベーションした自宅を“住み開き”されている伊藤千春さんのお住まいです。
“住み開き”とは、自宅をさまざまな人が訪れるパブリックスペースとして共有すること。新たなコミュニティ創出の取組みでもあります。伊藤さんもご自宅をギャラリーやイベントスペース等として開放されています。
伊藤さんは住み開きスペース“イベントと、ギャラリーitochiha(イトチハ"のほかにも、桃谷界隈の素敵な情報を集め、編集し、発信する「桃谷ロイター」の活動をはじめ、本を通じて人と人、人と場所などをつなげる「おおさかとしょかん」の社会実験活動、「生野区空き家活用プロジェクト」への参加など、地域の人と人をつなげる活動に積極的に取り組まれています。
ギャラリーitochiha 自宅2階の図書館 |
桃谷ロイター |
JR桃谷駅から徒歩10分ほどの古い家屋が多く残る桃谷地区。下町情緒あふれる桃谷の空気に溶け込むように伊藤さんのご自宅はあります。 さりげなく置かれた植木や停められている自転車も家を素敵に飾っています。
――生野区との出会いは?――
設計の仕事に進み、自分が設計した図面を大工さんが作り上げていくという過程を見て、「自分たちでリノベーションしたい!」という想いが強くなったと話します。そして、自由に手を加えられる物件を探していたときに知人から桃谷を紹介され、その後今のお住まいとつながったそう。 お話を伺って、伊藤さんの見た目から受ける朗らか・柔らかなイメージからは想像できない、“思い立ったら納得するまで徹底的”な一面を感じます。
「自分たちでリノベーションしたい!」その想いに忠実に、空き家だった家屋の内壁や床の張り替え、水回りに至るまで自らで改修。費用を抑える観点でも工夫された室内は使えるものを極力残し、昔ながらの家屋の良さが存分に生きています。
玄関から続く土間の先に光の差し込む空間が…。
近づいてみると、なんとお風呂!ガラス戸の浴室に驚いていると「壁をつくると土間の突き当りが暗くて空気が滞る場所になってしまうのが嫌で。」とのこと。狙い通り、光と風が通り抜ける贅沢な空間です。
「好きな時間はお風呂の時間。特に明け方のお風呂が好き。波板の屋根が、空の気配や小雨の雨音まで伝えてくれる。家の中にいながら外を感じられるのでお気に入りです。」優雅に日常を満喫できる、羨ましい時間です。
住んでみて…
「ここは、昔から住んでいる人が多くて町会活動がしっかり残っている。日常の声かけが自然にある。ご近所さんが気軽に声をかけてくれる。人によってはそういうのが苦手に感じる人もいるかもしれないが、地方出身の私にはそれが性に合う。 “ものづくりのまち”というのも魅力。この家を作ったときも今も、ものづくりを通して新しいつながりができた。とても住みやすいまちだと思う。」と話す伊藤さん。
地域をつなげる活動を始めたきっかけは大家さんの影響。地元を愛する気持ちから地域を盛り上げようとする大家さんに共感し、「桃谷を知ってほしい」と素直にそう思ったそう。
「まちが楽しくなれば住んでいる私も楽しくなる。日々の暮らしが楽しくなれば良い。物件のスペックが大事だという気持ちもわかる。暑い・寒いなどの要素は一般的にはデメリット。でも、スペックだけでは満たされない部分がある。そういうところに魅力を感じる人に、この町の住み良さを届けていきたい。」
“思い立ったら納得するまで徹底的”な伊藤さんのお住まいは、置かれているアイテムにもこだわりを感じます。 そこに置かれていることが計算されているかのような整然とした室内は、生活感をあまり感じない。 けれど、同時に“温かさ”を感じます。アイテムひとつひとつのエピソードを伺い納得。
伊藤さんの好みに合わせて友人が作ってくれた座布団、ご近所さんから譲り受けた年代物の箪笥(たんす)、この家に置き忘れられていた火鉢など、人との出会いがもたらしたものばかり。 いろいろな人の温かさが受け継がれているからこそ出てくる優しさがとても居心地のよい空間でした。
■イベントと、ギャラリーitochiha
https://itochiha.wordpress.com/
■桃谷ロイター
https://momodaniloiter.tumblr.com/
■おおさかとしょかん
https://www.facebook.com/osakatosyokan/
■生野区空家活用プロジェクト
https://www.facebook.com/ikunoakiyaPJ/