「広報いくの」2021年2月号12面 特定非営利活動法人IKUNO・多文化ふらっとと包括連携協定を締結しました

令和3年12月21日、生野区役所は、特定非営利活動法人IKUNO・多文化ふらっとと包括連携協定を結びました。協定締結式当日の様子をご紹介します。



山口区長あいさつ

 本日は包括協定を結ぶことができて嬉しく思っています。
お二人には、このまちが在日韓国朝鮮の人たちとの深い歴史の上にあって、その上でニューカマーの人たちが増えていて、 生活や教育のことで困っているということを教えていただきながら、繋がってきたところです。
今後は組織同士での繋がりとして、また御幸森小学校跡地の運営事業者ということで、どうしても私たちの手の及ばない、 動きにくいところを民間の力を借りて、つながれるまちづくりを多世代に広げていきたいなと思っています。

よろしくお願いします。

森本代表理事あいさつ

 私たちは、在日との長い歴史を歩んでまいりました。その中で「人権をどう大事にしていくのか」ということが大きな命題でした。 そこに、今回御幸森小学校の跡地運営事業者という形で選定いただいたことで、チャンスを広げていただいたと思っています。
私たちは大阪市生野区における多文化共生のまちづくり拠点の構築について、誰もが暮らしやすい、全国No.1のグローバルタウンを つくるということを大きなテーマ、ミッションとして掲げ、生野コーライブズパーク と名付けましたけれども、その課題は簡単ではないと認識しています。
私たちは民間のNPOなので、官の人の助けをいただかなければ成り立たない場面がある。今回の協定が、生野区が多文化共生を官民協働で やっていくスタートを切ったんだという、大きなメッセージの発信に繋がればと思っています。

 どうぞよろしくお願いします。

※いくのコーライブズパークとは コー(CO)「ともに」生きていくこと。ライブズ(LIVES)尊厳を持つ「人」であること。パーク(PARK)開かれた「場所」であること。 という意味を込められた名称です。 
 

出席者


山口 照美(やまぐち てるみ)生野区長
 民間人校長として大阪市立敷津小学校校長を務めた。大阪市教育委員会首席指導主事を経て、平成29年4月から生野区長。





 森本 宮仁子(もりもと くにこ)代表理事
  社会福祉法人聖和共働福祉会が運営する大阪聖和保育園保育士から主任保育士、施設長を経て、現在法人事務局長。






宋 悟(そん お)理事・事務局長
 特定非営利活動法人クロスベイス代表理事。公益財団法人とよなか国際交流協会評議員。特定非営利活動法人コリアNGOセンター理事、及び大阪経済法科大学評議員。




対談

山口

 区長になってこれまで、あっという間の5年でした。お二人には色々なことを教えていただいて、多文化カフェ、TATAMIトークなどのイベントや、保育所での講演もやらせていただきましたが、まだまだ学びつくせていない感があります。
 この5年の中でもコリアタウンの様子が変わったり、コロナもあったり、リアルタイムでの変動は私たちには見えにくいので、今後も近況的なことやこれから必要なモノ・情報を教えてもらいたいと思っています。

宋さん

 私どもとしては、山口区長が区政の3本柱の1つに多文化共生を掲げていただいたことが、地域で活動している上で非常に大きかったなと思っています。
 2021年3月に公表されている生野区の区民アンケートの結果が非常に興味深くて、生野区に魅力があると思う理由、ないと思う理由に両方外国人の問題が入っています。ちょうど均衡している時期なんですね。外国人と共生できていることが魅力でもあり、外国人が多くて不安ということでもある。シンプルに考えるといい部分を大きくして、不安を小さくしていくと、まちの魅力が高まるということですよね。生野区のまちづくりにとって、外国人にどう対応していくのか、外国人との共生をどうしていくのかということが大きな課題であることは間違いないので、区政の柱のひとつとして今後も掲げていただきたいなと思っています。

山口

 私の就任前までは、あまり多文化共生と言ってこなかったので、最初は新しい区長が変なこと言い出した、と捉えられていたと思います。生野区長の前職で、小学校の校長をしていた時に、外国籍の子どもや保護者を受け入れるための色々な問題に関わってきました。時代もちょうどそういったところにフォーカスが当たってきたと思います。

森本さん

 民族学級のテレビ取材の中で、民族学級の子どもたちが民族講師と対話しながら、「自分とは何か」と考えていく過程を横で見ていた中国出身の子が、「今まで自分が中国出身であることは、横へ置いていた。だけど、仲間が「自分とは何か」と考えているのを見て、自分も自分が中国出身であることの意味を考えようと思った。」という内容のコメントをする場面があって、未来の理想の姿を感じさせる印象深いシーンだと思いました。
 このまちには、在日との長い歴史があって、それが次へ派生していく。色々な文化を持つ人々が、どうやって一緒に生きていくのかということがテーマになっていけばいいなと思います。区としてそこを大事に思っていると言っていただけることで、大きな力添えになります。

宋さん

 この間、区内の中学校で多文化共生とe-sportsを組み合わせたイベントがありましたね。あれは一つのひな型になると思います。単に出前講師で来てもらうのではなくて、学校と地域と大学などが入って一緒にイベントを作りました。提供されたプログラムを実施するのもいいのですが、一緒にカリキュラムなどを作ると、大学や地域との連携で、その学校に財産として蓄積されていくと思います。

森本さん

 生野区の小中学校が面白いということになると、子育て世代を呼び込む力になると思います。こんなことを生野区の小中学校がやってるよ、と広まるとすごく大きな力になると思いますので、いい仕掛けというか、そういったものが各学校にあるといいですね。

山口

 仕掛けを提供する準備はずっとしているんですけども、なかなか進まないところもあります。カリキュラムの作成が学校の財産になるというご助言をいただけたのは嬉しいです。

宋さん

 カリキュラム作成となると、大学も関わりやすいところが出てくるんですよ。出前講座に1回来て終わり、ということじゃなくて、ずっと生野区という所にこだわって、学生が代わっていっても連携の仕組みを作っていけます。他校でのいい取り組みを共有してやっていけたらいいですね。
 数年後、多文化共生教育の授業カリキュラムでは生野区が大阪一、日本一の取り組みをやっているよ、という風になったら、まずはそういったことに関心の高い保護者が増えてくれるかも知れません。インターナショナルスクールもできたりするかも知れません。
 さっきのまちのイメージを変える話でいうと、「外国人と共生できている」というまちの魅力の部分を大きくしていけるのではないでしょうか。

森本さん

 こういった取り組みにも幅が必要だと思っています。学校に地域の人が入っていけるカリキュラムなど、長い目で見て、子どもたちが大きくなったらボランティアとして関わったり、学校へ入っていく地域の人になったりという良い流れができればいいですね。

宋さん

 私どもがこれから作っていく拠点でも、近隣の小中学校から授業の一環として勉強しに来てもらえたら、みたいなアイデアがあります。最初はイベント的に年1回でもいいのですが、ゆくゆくは1年を通じたカリキュラムにできればいいなと思っています。そうすることで、外国人の子どもたちだけではなくて、生野区の子どもたちに学びを提供したいですね。 
 これから作っていく拠点では、とにかく色んな子どもたちや世代をごちゃ混ぜにしたいです。

森本さん

 とにかく人が出会っていく場にしたいですね。

山口

 今後ともどうぞよろしくお願いします。


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