いくのdeリノベ4月号 身近なまちの保健室

小林知加子さん

 桃谷商店街を通り抜けた疎開道路沿いのビルの2階。ドアを開けると、小林知加子さんが笑顔で迎えてくれた。ここは、2018年9月に開設された医療・健康関係の書籍を置く小さな図書室「まち健康ライブラリー陽の芽(ひのめ)」。有料ではあるが、予約もいらず、自由に本を選び調べものをしたり、小林さんが健康や医療の相談にも乗ってくれる、そんな場所だ。というのも、小林さんは週の半分は病院などに勤める現役の医師でもある。


ビルの入り口に看板があれば、オープンしている目印!

「陽の芽」という名前は、陽の光を浴びて芽が出るように、ここに来ることで元気になってもらえるような場所にしたいとの思いで付けたそう。看板のイラストは小林さんが描いたもの。

階段またはエレベーターで2階にあがり、つきあたり左が「陽の芽」の入り口。

 小林さんは、医師としての人生のほとんどを、産業医や健診・人間ドック医として、たくさんの方の心身の不調と向き合ってきた。また、友人の紹介で知ったボランティア先では、心の不調で学校や仕事に行けない若者たちに料理を教えたり、いろいろな世代の方から心身の悩みの相談を受けたりした。そんな経験の中で、「ちょっと気になっている体のことを、気軽に聞ける場所が身近にあれば」という思いが芽生えてきた。イメージは「まちの保健室」。人生は一度きり、やりたいことをやろう、そう決めた。

本棚には医療・健康関係の本が並ぶ。
お客さんが寄付してくれたり、買い足したりで、少しずつ本が増えていっているそう。



 ボランティア活動を通じて知り合った、建設業を営む「いたや」さんから、会社の2階を借りられることに。遮(さえぎ)るものなく広い空が見える大きな窓に魅せられ、一目でここに決めた。築数十年の古い建物。なるべくお金をかけずにリノベーションすることに。壁には漆喰(しっくい)を塗り、天井はピンク色に塗った。カーペットをはがした床には、接着剤の跡が残っていたが、その上から白く塗った。その跡が波目(なみめ)の模様となり味わいが出た。最初は派手過ぎるかと思った天井のピンク色だが、ペンダントライトの電球色と窓からの日の光が溶け込み、柔らかで温かな空間となった。

ゆっくりとした時間が流れる空間。
窓から日の光がたっぷりと入るようにカーテンはつけていない。

 自分の心に素直に向き合い、自然体で生きる小林さん。きさくな人柄が、今日も訪れる人の肩の力を抜いていく。


★営業日・営業時間についてはまち健康ライブラリー陽の芽」のホームページでご確認ください。
※2021年5月、勝山北の取材させていただいた場所から生野東に移転されています。

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