IKUNO×グローバル 9月号 中国



葉 昇希(ヨウ ショウキ)さん
中国出身。学生。
大学で看護士資格を取得。卒業後1年ほど日本語を勉強。
日本での看護士資格を取るために生野のまちに来て2年目。
今は看護と日本語の専門学校に通いながら、病院で介護のアルバイトをする毎日。
多忙な中、休日は生涯学習ルームで社交ダンスを習っている。

取材の日は、ちょうど彼女が好きなチャチャチャの練習の日。教室では一番の年下。
「ヨウちゃん久しぶり!」「ヨウちゃん、今日もよろしくー」と、みんなから笑顔で声がかかる。
ステップはなんとも難しそう。ダンスの「ダ」の字にも縁のない者からすると、信じられない動きの数々。彼女も苦戦中だ。みんな真剣な顔でステップをふんでいる。だけど教室の雰囲気はいたって楽しそう。真剣な顔の次には、みんなで笑い合って、声を掛け合って。





―社交ダンスは楽しい?

踊るのが好きなんです。
日本に来て初めて社交ダンスをはじめたんです。ひとつひとつのステップは難しいけど、頑張って練習すればするほど気持ちよく踊れる。特にチャチャチャが好き。
学校に通って、アルバイトもして、ダンスを覚えるのも大変だけど、教室でみんなと頑張って踊る時間が楽しいです!

とっておきの笑顔だ。ダンスが本当に好きなのだと伝わってくる。それは、教室に参加されている方からもおすみつき。休憩時間に「ヨウちゃん、ホンマがんばり屋さんやねん」と、アメちゃんが配られた。なんだかあたたかい。彼女は少し照れくさそうに、アメちゃんをほお張っていた。


―故郷はどんなところ?

温泉。私の故郷は、中国の雲南省の騰衝県(とうしょうけん)で、温泉が有名なんですよ。中国にも温泉があるの知ってますか?私も温泉が大好き。中国では温泉に入る時、ふつう水着を着たり、人前では裸にはならないけど、私の故郷では、日本と同じように裸で入るんですよ。

生野には銭湯がたくさんあるけど知っていますか?と聞くと、キラキラした瞳で「知ってます!でも、まだ行ったことがなくて、行ってみたい!」と。
ひとりで暮らす海外のまちでの生活を、前のめりで楽しんでいる。そんな前向きで、何でもやってみようと思う気持ちが、彼女のいつでもまっすぐな表情に表れているように感じる。
彼女はどこまでも自然体で、そして興味のあるものに軽々とチャレンジしている。そんな彼女と出会った生野のまちの人は、どう思うだろう。僕は、自分の重い腰が少し軽くなった気がして、何か新しいものを始めたくなっている。彼女のように、楽しみを自分から前のめりで見つけて、とりあえずやってみる軽やかさに憧れる。



―生野のまちはどう?


生野のまちで出会った人たちは本当にやさしい。
生野区は学校に近かったので住むことになったんです。知り合いも友達もいない2年前、毎朝、近所の公園で本を読んでました。そんな私に声をかけてくれたのが、公園を掃除していたおばちゃん。うれしかった。おばちゃんとの会話が本当に楽しかった。グランドゴルフにも誘ってもらって、試合にまで参加しちゃいました。

社交ダンス教室のみんなも、公園のグランドゴルフのみんなも、何もわからなかった自分にとても親切にしてくれた。公園でひとり本を読んでいた2年前とは別世界。今はやさしくて楽しいみんなに支えられながら、前に向かっています。

最後に好きな日本の料理はと聞くと「ウナギの握り!甘辛いタレをたっぷりつけて」と、満面の笑顔で答えてくれた。頑張った自分のご褒美に食べるのだとか。
来年、日本で看護士として働くことになっても、社交ダンスはずっと続けていきたいと、まっすぐな瞳で話してくれ、インタビューを終えた。





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