「広報いくの」2021年6月号8面 株式会社スペースマーケット及びakippa株式会社と事業連携協定を締結しました

 


 大阪市生野区役所は、生野区内の遊休資産・空きスペースの有効活用を推進するため、株式会社スペースマーケット及びakippa株式会社それぞれと令和3年3月22日(月)に事業連携に関する協定を締結しました。
 この協定締結により、公民相互の連携強化を図ることで、株式会社スペースマーケット及びakippa株式会社、各社が持つ先端技術やアイディア、ノウハウにより、新型コロナウイルス感染症の影響による社会情勢、時代の変化に適応する新たな生活様式や経済活動等(ニューノーマル時代)を見据え、生野区の空き家を地域資源として、利活用が進むよう、ICT及びシェアリングエコノミーを活用したまちづくりに取組みます。

対談内容  


山口
生野区長の山口です。
今日はよろしくお願いします。
せっかくの機会なので、いろいろ聞かせてください。
コロナ禍で、社会情勢、経済情勢の大きな変化がありますが、両社の中で大きく変わった部分、逆にこのサービスは伸びた部分は何ですか?



重松
スペースマーケットの重松です。
よろしくお願いします。
のびたサービスは少人数利用ですね。もともとパーティーニーズが多くて、8~10人での利用が多かったんですが、コロナの影響で、少人数での女子会や誕生日会など2~3人でのニーズが増えましたね。あと地方でのニーズが増えました。都心に出ずに、地元のターミナル駅周辺等での利用ですね。
利用方法も、それまでも会議での利用から、コロナの影響で、テレワーク、サテライトオフィスなどのワーキングスペースとしての利用が増えましたね。



金谷
akippaの金谷です。
よろしくお願いします。
確かに、家の近くにスペースマーケットの物件があると、いいですね。
家では家族がいて、仕事ができないとか、そんなときに利用できますから。都心じゃないところにもあるっていうのがいいですね。
akippaとしては、コロナ以前は、イベントでの駐車場利用に、大きな需要がありましたが、コロナの影響で、スポーツ、コンサートイベントが軒並み中止になって、イベントの駐車場利用の需要は大きく減りましたね。 でも、コロナの影響で、通勤のために都心での駐車場利用が増えたんです。
また住宅街での需要も減ったんですが、そこで、住宅街の駐車場スペースを使って、飲食店の時短営業などが原因で、野菜が売れない農家さんがフードロスの問題もあるので、許可を取って、野菜販売の小さなイベントをやったんです。 そしたら、「コロナで外出自粛が続いて、ストレスが溜まっていたので、買いに行くだけで楽しい」などのご意見をいただいて、住民の方からは好評でしたね



山口
コロナ禍では「移動」ということが難しくなりましたよね。
駐車場スペースを利用したキッチンカーを出したちょっとしたイベントって、楽しいですね。




山口
今まで行政と一緒に、どんなことをやられて来ましたか?



重松
直近では神戸市と連携した取り組みを進めています。飲食店のアイドリングタイムを利用して、テレワークスペースとして活用する取組で、しかも1時間100円で。
他には島原市との取組は、「城」丸ごと一棟貸し、横須賀市とは、「島」一島丸ごと貸しなどの取り組みをしていて、映画などのロケに活用してもらっていますし、可能性を感じますね。
スペースマーケットとしては、「公共施設予約のDX」と考えていて。公共施設の予約は、いま各自治体で、別システムだけれど、より簡単な方法での予約の仕組みを提供できると。



山口
システムが統一されていると確かに便利!



金谷
愛知県豊田市では名古屋グランパスの試合時に、スタジアム周辺の駐車場不足を、市役所庁舎駐車場、小学校駐車場など1000台分をakippaで予約できるようにしました。
栃木県日光市では、紅葉シーズンにおこる駐車場不足を、近隣の空き地を活用して、問題を解消したり、宮城県では楽天スタジアムでの試合時の駐車場不足を、近隣の空き地を活用して、渋滞緩和、駐車場不足の解消につなげています。
普通の駐車場には、設備を投入することになりますが、akippaでの予約決済でいくと、出入口に、警備員を配置して、その人に予約画面を見せるだけで駐車ができるようになるんですよね。




山口
行政が、もう少しこうした方がいいよなところ、ここをなんとかした方がいいところなどあれば!



重松
アジャイル(「より迅速に、より容易に動く」という意味)、やりながら、走りながら考える、小さく初めて、大きく育てる、そのマインド、仕組みが、行政の中で重要になってくると思います。
やる前からあきらめるのはやめてほしい。
またデジタル化が待ったなしの状況なので、日本の行政でも、前向きに進めていってほしいですね。



山口
確かに、職場のPCが遅いことに慣れてしまっている・・・おかしいです。
行政として、そのマインド、仕組みは重要だと思います。



金谷
自治体、大企業と連携して取り組みを進めるとき、連携したこと自体が、最大のニュースになってしまうケースがありますが、一緒に、課題解決に向けて、走りつづけたいと、考えています。
そのためには、取り組みに対して情熱を持った担当の方が重要だと思います。
組織のトップの方には、やはり情熱がある方が多いですが、取り組みを一緒にすすめるにあたっては、中身をすすめる人、担当の方にも情熱的に取り組んでほしいですね。



山口
確かに、サービスの中身を知らないと取組を進めることが難しいですね。
例えば担当者が、ICTが苦手とかだったら、、、そこは若い職員のチカラを借りながらすすめていきたいです。




山口
大阪市でもシェアリングエコノミーの話題が、市議会でも上がっていて、これから進めていかないといけない取組のひとつ。
シェアリングエコノミーの今後の展開について、教えてください。



金谷
丁度、シェアリングエコノミー協会は、昨年関西支部ができて、これから盛り上げていきます。
関西ではまだ広がっていないシェアリングエコノミーの概念を広げていきたいです。
現在は2か月に1回程度イベントを大学や経済団体と一緒に開催していますが、そこに参加してもらって情報格差を埋めていくことで、サスティナビリティ(持続可能性)について、理解も進み、既存のもの、アセット(資産、財産)を使って様々な取り組みができることを知ってもらいたい。



重松
いまシェアリングエコノミー協会の代表理事を務めています。2016年1月に立ち上げ、5年以上たち劇的に変化してきていますね。
「所有から利用」へ、シェアリングの流れは不可逆と思う。「SDGs」、「環境への配慮」は世界的なものになり、サステナビリティ、持続可能性は企業活動の上でも大切な視点となっています。
そのためにも、シェアサービスの認知度を、行政と一緒に取り組むことで、上げていって、行政課題の解決に役立てたいです。
シェアサービスのいいところは、個人間の取引、個人間で解決していくのが、すばらいいところ。
シェアサービスには、私たちが取り組むスペースのプラットフォームだけでなくて、シェアするサービス内容は、スキル、クラウドファンディング、もの、移動など、さまざまなプラットフォームがあって、それを活用することで、さまざまな行政課題、地域課題の解決につなげることができる可能があると考えています。



山口
シェアって関西弁でいうところの「わけわけ」だと思う。生野区では1人暮らしの高齢の方が多く暮らしていて、消費も小さくて。そこから「わけわけ」の発想が出てきたんですよね。
そんな生野区で3月30日からAIオンデマンドバスの社会実験が大阪メトロによってスタート。
生野区に最先端がやってくる!
これまでもサイボウズと一年ほど、こどもの虐待防止のための取り組みをITを使って進めていますし、
私は「他力本願スマートシティ」と呼んでいます。
ユーザーを探すことも私たちには大変であり、もともとあるプラットフォームを使わせてもらうことで、そこを解決できる、ユーザーを探すこともシェアエコのひとつだなと考えています。
行政が、一からシステムを開発すると、莫大な費用と時間がかかりますから。そこでみなさんのチカラを借りて進めたいと。
社会実験的にスタートして、その考え方が、区民、市民に広がることをめざしています。



金谷
私たちIT企業も、自社でシステムを全部作らない。様々なものを活用、利用していますよ。



重松
全部行政がかかえる時代は終わって、いろんなものをうまく組み合わせて活用していくことが大事になってきますよね。



山口
生野区では「シニア・スマートシティ」と名付けて、AIオンデマンドバスのアプリの利用の促進を、高齢者の方々にも広げていきたいと考えています。
その中で、スペースマーケットやakippaのサービスも使ってみようと思う人も出てくればと、期待しているところです。




山口
「ポストコロナのまちづくり」といくキーワードをよく耳にしますが、まちづくりに関係する、この協定で期待すること、やってみたいこと、何ですか?



重松
ご近所エコノミーが大事に、既にもうなってきていますよね。
身近なエリアで気の合う仲間が集まって、ご近所ツーリズムなどを楽しんだり、わざわざ、梅田や都心に満員電車で通勤するのではなく、スポット、スポットで、しかも気分次第で、近場のいろんな場所で働いて、そこのオーナーとコミュニケーションをとったりして、新しい形の地縁が生まれる、そこでシェアエコの各サービスが役に立てばと。
私たちも、働く場所の紹介や、古民家、空き家を活用しながら、一緒に行政課題の解決につなげていきたいです。



山口
空き地、空き家ってネガティブにも聞こえるけれど、逆に「可能性の塊」だと思う。



金谷
akippaはビジョンに「あたなの会いたいをつなぐ」をかかげています。
ただの駐車場ではなくて、人と人をつなぐ、人と体験をつなぐ、ことが大切だと。
「実家の近くにコインパーキングがなくかったけど、akippaが出来て、帰省ができました」という声もいただいて、そんな「つなぐ」が大切だと。
住宅街での利用が広がれば、コロナの中、電車での移動は不安だけど、akippaができたから車で帰省しよう、と広がってほしいです。
また全国的にも大きな空き地を、地域にそのままにしておくのではなくて、フードトラックで人気の飲食店を出店したり、移動式の人気ファッションブランドのポップアップストアを展開する、その日限定のイベントも行う利用の仕方が人気で。
空き地には、ずっとある空き地をそのままにせず、コロナだからこそ、外で人の集う、その日限定のイベントをするなど、可能性があると思うので、そんなことを連携して一緒に取り組んでいきたいです。



山口
まちの中の当たり前のオープンスペースな空き地や空き家を活用した、アクティビティをたくさん増やしていけば、住みながら働けて、しかも休日も楽しめる、そんなまちになれば、今よりも住みたい、住んでもらえるまちになると思って、取り組みでいきたい。
今後は走りながら一緒に取り組みを進めて、生野区が「課題解決最先端エリア」になれるよう、これをスタートによろしくお願いします!




広報紙「いくの」2021年6月号8ページ   







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