いくのdeリノベ10月号:夢に向かう家








今回のご紹介は、勝山南の城塚(じょうづか)さんのお住まい。2階建ての長屋の角地で、独立した1階部分を借り受けておられます。建物自体は築50年以上ですが、内装は全て一新されていて、その歴史を全く感じさせません。

1階部分が城塚さんの居住スペース部分。
2階へは別の玄関があり、大家さんの物置になっているとのこと。





城塚さんは、9月号の「ピックアップものづくり百景」で紹介した「切子ガラス工芸研究所 たくみ工房」で働く切子職人さん。大学卒業後は故郷の広島で就職されていましたが、ある時、たまたま訪れたデパートの食器売り場で切子と出会います。その輝きの美しさに目を奪われた城塚さん。そこから切子の工房探しが始まり、辿り着いたのが「たくみ工房」。それ以来、週末は夜行バスで広島と工房を行き来し、切子の技術を磨く生活が数年続いたとのこと。今年、工房のスタッフとしての採用が決まり、生野のまちに住むことに。
すっきりとした室内。本来ダイニングですがリビングとして使われています。




気持ちよく使える水回り

ユニットではなく、浴槽も洗い場もあり十分な広さのお風呂。



城塚さんが制作されたもの。光がガラスを通り抜け影まで幻想的です。

こちらも城塚さん作のグラス。
ガラスを削る作業を重ねることで美しい模様が浮かび上がります。






お住まいを探すにあたって、最も気にしたのが「音」だと言います。自宅で存分に制作に打ち込める環境にこだわり、この家に辿りついたとか。「ガラスを削るときの音は意外に大きいんです。音の問題をクリアできて、費用もなるべく抑えて、工房近辺で…と地元の不動産屋さんにお願いして、一軒家の賃貸を探しました。」と教えてくれました。


結果、隣と接しているのは1面だけの家が見つかりました。窓が少ないところも城塚さんにとってはメリットです。家賃の額も、工房からも徒歩5分であることも、条件が合いました。







こちらに移り住む前から、よくDIYをしていたという城塚さん。お住まいに置かれたほとんどの家具を手作りされているとのこと。「将来的なことを考えて、家の中の荷物は最小限にしようと。DIYで作った棚は、運ぶときも解体ができるので便利です。」玄関にある自作のパーテーションは、入ってすぐのキッチンを隠す役割と、ダイニングとキッチンの間仕切りを兼ねて作られています。また、外出時に必要なものを置くラックとしても活用。その圧迫感のない作りとナチュラルな木の色により、部屋全体をすっきりとした印象にしています。
自作パーテーション。
部屋の雰囲気をがらりと変える効果が。
パーテーションに飾られている猫のモチーフのコースター。
切子を始める前からものを作るのが好きだったそう。
ちょっとした小物も広島から持ってこられたもの。


奥の部屋はご自身の作業部屋として使用し、ここにも作業台と収納を兼ねた自作の棚があります。こちらは以前のお住まいから使われていたもの。切子細工に必要な工具などがきれいに収まり、快適に作業するための工夫が施された“オリジナル”の空間。ガラスの粉が飛び散るのを防ぐためのカーテンも取り付けてあります。カーテンを閉め、その内側で毎晩ガラスを削る作業に打ち込まれているとのこと。
作業台。解体して持ってきたものをここで再度組み立てたそう。


モーターとグラインダーの機械。これでガラスを削り模様を入れていくそう。

グラインダーは数種類お持ちですが、これだけではまだまだできないことがたくさんあるそう。
ここでできないことは、工房で続きの作業をされているとのこと。

削る前のグラスが並びます。ピンク色の線がグラインダーを当てて削る部分。
クリスタルの含有量が多いほど、ガラスそのものの輝きが強いそう。



城塚さんが作った初めての切子ガラスの作品
初作品は大事にとっておられました


城塚さんがお気に入りの色違いシリーズ。ガラスと銀粉で輝きが








上からも美しい模様が見えます


城塚さんが働く「たくみ工房」さんの様子を写真でお伝えします。

教室がある日は工房にたくさんの生徒さんが通いに来られます。
皆さん真剣な表情で制作されていますが、
教室の運営や生徒さんへの細かなフォローも城塚さんの仕事です。



















切子制作用のいろんな機材が揃っています








職人希望の若い生徒さんも通っています







たくみ工房を運営されている高橋さんと

「仕事を辞めるには勇気がいったけれど、本当に好きなことを仕事にできて、家でも制作活動に打ち込めるこの生活にとても満足しています。」と清々しく微笑むお顔からは自分の決めた道を突き進む、迷いのない充実した日々がうかがえます。










人気の投稿